今回はクロノグラフの針の不具合について少しお話したいと思います。
メカニカルな風貌やその機能美溢れるデザインに惹かれ、クロノグラフ機能付きの時計を愛用している方は多いと思います。
久しぶりにクロノグラフ機能を使用して、リセットボタンを押した瞬間、下の画像のようになり、「あれ?」と思った経験はないでしょうか?
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これはオメガのスピードマスターですが、30分計や12時間計の小針はきちんとリセットされてゼロ位置に戻っているのに対して、クロノセンター針だけが中途半端な位置で止まっていますね。
こういった不具合は時々起きるのですが、それにはいくつかの原因があります。
少し古いモデルのため、針自体が金属疲労で傷んでいる場合、ただ単に衝撃等で針が取れかかっている場合、機械内部の不具合等です。
今回は針自体が金属疲労で傷んでいました。少し年代の古いスピードマスターにはよく見られます。
針を裏返すと歯車の芯に取り付ける部分が飛び出ているのが分かります。
下の画像の丸で囲んだ部分です。
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この部分を袴といい、金属(多くは真鍮)でできた丸い筒状をしています。
古くなって金属疲労を起こした袴はヒビが入ることが多く、そのまま使用しているとどんどんヒビが広がっていき、針がスカスカになってきちんとリセットができなくなるわけです。
完全に解消するには新しい針と交換するしかありません。
特殊なモデルでどうしても針が手に入らない場合は金属用接着剤で応急処置する場合もありますが、おすすめはできません。
今回は針が手に入ったので交換し、きっちりリセットできるようになりました。
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針が入手できる場合にはこういった修理も可能ですので、ぜひお問い合わせください。
では。