カレンダーの不具合についてお話したいと思います。
愛用の時計の日付や曜日を確認したとき、こんな状態になっていたことはないでしょうか?これはオメガのスピードマスター トリプルカレンダーですが、カレンダーの曜日の表示が中途半端な位置でとまっていますね。時計業界内ではいわゆる「半目」と呼ばれる状態です。これはなんらかの原因でカレンダーが切り替わらなかったことで起こるのです。
そもそも、機械式時計のカレンダー表示機能はどのような仕組になっているのでしょうか?
一般の人にはまるで魔法のような仕組みにみえるかもしれません。

それでは文字盤を外してみましょう。

れがはずした状態です。意外にもシンプルな構造ですね!
これはETA7750をベースにした機械ですが、他のムーブメントメーカーの機械もたいていはこれと同じようなカレンダー機構を採用しています。
赤丸で囲んだ部分が曜日が印字されたディスクです。この円形のディスクが回転することにより、文字盤に開いたカレンダー窓からのぞき、日付や曜日が表示されるわけです。     このディスクはバネで制御されており、一日分ごとパチパチと変わる仕組みになっています。

このカレンダーディスクがはまるホゾや、制御しているバネと接する部分には摩擦が生じるので、注油が必須です。
しかし、油の量が多すぎたり、本来油の必要のない箇所に油が流れたりするとディスクの回転を阻害してしまいます。
また、長期の使用で油が枯渇していたり、変質して油の粘度が高まったりした場合も同様です。
こういったことが原因でカレンダーディスクがスムーズに回転せず、半目の状態が出来上がるわけです。

定期的なOHでこういった症状は回避できますが、機械自体の油はたっぷり入っていても、カレンダー部分のみ不具合が出る場合も多いので、ぜひ気軽に工房にご相談ください。