こんにちは。
お馴染の銀蔵時計工房ブログのお時間です。

今回は通称“2階建てクロノグラフ”と呼ばれているOMEGAスピードマスター3510.50を紹介します。
クロノグラフの画像

スピードマスターの中でも比較的小ぶりで軽く最もカジュアルなクロノグラフの1つで、ETA289xベースの自動巻きです。
クロノグラフの画像

(左の文字盤付きがクロノ、右が自動巻きです)
この機械が“2階建て”と呼ばれている特徴として
■3針自動巻き(1階部分)に、クロノグラフのモジュール(2階部分)が後々乗せられた。
■1階と2階は3本のネジで留められており簡単に分離できる。
ということがあげられます。
では、自動巻き部分とクロノグラフ部分についてを紹介してきますね!

自動巻き部分
クロノグラフの画像

クロノグラフとドッキングする面の写真です。歯車の上に更に歯車が重なっています。この中心の金色の車を横から見ると…飛び出た状態で取り付いています。
クロノグラフの画像

この車がドッキングの際にクロノの動力源となります。傾いていたり高さが合わないと、振り角やクロノの動作にも影響を及ぼし、止まりの原因になってしまいます。

クロノグラフ部分
クロノグラフの画像

真ん中の窪んでいる部分に先ほどの金色の車が入ります。スモールセコンドの秒針に繋がります。

それではここで技術者の目線から、このムーブメントで連想することを紹介しますね!
■分離できるため、それぞれ不具合が発見しやすい。
■クロノの中でも小ぶり&ローターが両巻きで巻き上げ効率がよい。
■OHの際、針が外しやすい(硬すぎない)。

クロノグラフの不具合として、クロノ作動させると時計が止まったり、テンプの振り角が大幅に落ちたりすることがよくあります。しかし2つに分離することによって、片方が正常であればもう片方 という風に、不具合が発見しやすいんですね。また針の取付部分が小さい(短い)からか、程よく綺麗に外せる事が多いです。
雑誌などではETA7750のクロノグラフと比較されることも多く、プッシュボタンとリューズの位置関係や、針の動き、巻き上げの感触などなど、各々の特徴が取り上げられています。

では、こちらを組み立てます(自動巻き部分)
クロノグラフの画像

各々のOHが完了しましたら、最終的にドッキング
クロノグラフの画像

今回は特に摩耗しているパーツもなくスムーズにOHできました。今後クロノの2階部分も詳しく紹介しますね!

それでは今日はこの辺で