人を惹きつける黒い時計。その加工法について。
こんにちは。
毎日数本のOHやその他の作業に勤しむわけですが、先日入荷した商品の中で何とも珍しい時計を発見しました。
それが…こちら。
カルティエ サントス・デュモン スケルトン カーボンウォッチです。この間サッカーの本田選手が、
インタビュー時に色違いのを付けてたようです。
時計を裏側(裏蓋側)から見ると…
従来、スケルトン・ウォッチと言えば、地板とブリッジを透かし彫りし、そこにアラベスク模様を彫金するというのが一般的でした。しかし、この時計では、華美な装飾性を排除し、ムーブメントのブリッジ(歯車などを支える受け板)をローマ数字のインデックスにすることで、カルティエの高度な美的センスと時計作りの技術を、より鮮烈にアピールすることに成功しています。
そして今回、この時計を通じて初めて知った事…それはADLC加工です。このような黒いボディの時計と言えば、一般的にパネライやウブロなどのPVD加工を想像しますが、同じ黒でもADLCはまた違った特性を持ち合わせています。
ちなみに…ADLC加工とPVD加工を簡単に説明すると…
ADLC加工(Amorphous Diamond Like Carbon)
非晶質ダイヤモンド風カーボンの略で、F1カー等にも使用されている最先端技術加工です。ダイヤモンド並に硬く、テフロンよりもなめらかなカーボンでコーティングする技術で、PVD加工よりも更に傷に強い加工です。
PVD加工(Physical Vapor Deposition)
物理的蒸着法の略で、表面に薄膜を形成する蒸着法のひとつ。従来のメッキや塗装よりも耐久性に優れ、硬化処理や装飾用にしばしば使われています。昨今ではブラック以外に、ブルーやゴールドなど、様々な色を加えることも可能。
ADLCの方が、小傷や、酸やアルカリ性における耐蝕にも強いのですが、主原料がカーボンのため、グレーブラックの色に限定されます。そのためより深い黒や多色、風合いの変化を楽しむにはPVDの方が適していると言えます。
現にスイスの高級時計メーカーではPVDの方が一般的のようです。
他にもシャネルJ12などのセラミック素材も輝きが色褪せず、人気も高いです。
数年後には、また異素材のケースが採用されるかもしれませんね。時計は基本的にステンレス色のイメージが強いですが、次は黒い時計を楽しんでみてはどうですか。
黒は絶えず人を惹きつける力を持ち合わせています。色や素材、質感を楽しむと同時に、新しいファッションの第1歩にしてみては。
それでは本日はこの辺で。